今日は双眼鏡か。今度はどんな双眼鏡かなという顔している柴犬です。
概要
一言でこの双眼鏡を表現するならば、怪物です。
この双眼鏡のシリアルナンバーを次のWEBで調べてみると 1936 年製のようです。
http://camera-wiki.org/wiki/Carl_Zeiss_serial_numbers
この双眼鏡の特徴は、双眼鏡としてのスペックが現在に至るまで製造されたどの双眼鏡よりも上位であることです。
見掛け視界は90度という超広視界であり、接眼レンズに非球面レンズを採用して実にシャープな像を見ることができるからです。実視界は11度を超えています。
最近、非球面レンズを採用した双眼鏡もあるようですが、それまでは唯一無二の存在でした。
そして、写真で見るとおり接眼レンズの直径が20mmを超え、アイレリーフも長く実に見やすいです。
そして、普通トンネルから外を見る感じですが、これはトンネルから出て外を見る感覚が味わえるという特筆すべき特徴があります。別の表現で言うならば、黒幕の中に丸い絵があるのではなく全面に絵があるという感じです。
ですので、像がシャープ、見やすい、さほど重たくないという完璧といってもいいほどの性能を有しています。
ただし欠点もあり、この時期の材質が悪いのか分かりませんが、パーツによって部材の経年劣化が激しいようです。
これより以前のZEISSの製品は、対物レンズ枠の化粧カバーは真鍮色であるなど腐食とは無縁でした。
全体
腐食は対物レンズ枠の化粧カバー、接眼レンズ周り、本体ボディに発生しています。
腐食が進まないように、腐食したところを油性マジックでペイントしました。黒光りがないところがそうです。
一目見て全体のフォルムが普通とは違うという印象を受けると思います。巨大なプリズムを格納するためにこのようなフォルムになったのでしょう。
Nikon IF 7X50と比較
上が今回の双眼鏡で、下が一般的な 7X50 見掛け視界50度の Nikon の双眼鏡です。
全く違うフォルムを呈しています。見掛け視界90度にするには、屈折率の高い巨大なプリズムが必要かということが実感できます。
接眼レンズ
単なる広視界を作るのではなく、見やすいものを作るという姿勢が見えます。
直径20mmを超え、アイレリーフも長い接眼レンズです。
埃を拭く・払うすると擦り傷が増えるだけなので、埃が固着しない程度に放っています。ですので、接眼レンズは埃がかぶっています。
内部の状態は、カビの発生はなく曇が少しあるだけです。
対物レンズ
ZEISSの他のモデルと変わりないレンズです。
レンズにカビの発生もなく、曇りも極僅かにあるだけのいい状態です。
ボディの内部の腐食はないようです。
腐食が実に惜しいと感じられます。